愛用していたギターたち

青いライン

いくらヘタクソであっても、40年もギターを愛好していれば、別れと出会いはついてまわります。ここではかつて所有していたギターについて徒なる想いを綴っていきたいと思っています。(感想は記述当時のものです。)

Acoustic folk guitar

フォークギター

私が小学生のときです。
矢野顕子嬢がDJをしていた「若いこだま」に高中正義氏がゲスト出演し、新譜の「TAKANAKA」が特集されました。子供ながらに衝撃が走り、自分もギターが弾きたいと思いました。しかしお小遣いは月に千円もなく、子供がアルバイトをするような場所もありません。住んでいた町には楽器店はなく、隣街の赤羽の楽器店は子供がヒョイと入れるような雰囲気ではありません。親と一緒に街に出たときに、ショーウインドウ越しにエレキギターを見つめるのが精一杯でした。
中学生のある日曜日、ギターを買ってやると父親が突然言いました。そして美女木のディスカウントショップで、父親の買い物のついでにギターを買ってもらいました。
無名メーカーのフォークギターです。当時はニューミュージックが流行っていたので、ギターといえばフォークギターのことでした。天井から吊り下がっている何本かのギターの中から、どう選んだのかは記憶にありません。エレキギターはダメだということで、選択肢はほぼなかったように思えます。思い返すと、まるで円柱を二つに割ったような丸くて太いネックでした。しかし比較のしようもなく、ギターのネックはそういうものだと半ば信じていました。入手して間もなく弦が切れましたが、せめてもとエレキギターの弦を張りました。エレキの弦はフォークの弦よりも細くて柔らかいので、Fコードで挫折はしませんでした。しかしナットの溝が太かったせいで、いつも音がビリついていました。フォークギターの教則本とコードブックを買いましたが、興味のない歌ばかりでした。妹が買ってきた芸能雑誌のソングブックを見ながらジャカジャンと掻き鳴らしましたが、歌伴がしたいわけではありません。
やがて高中正義氏のブームが到来して、譜面も売られるようになりました。お小遣いを貯めて譜面を購入し、やっと希望が叶うと喜んだものです。しかしカッタウェイのないフォークギターではハイボジションのフレーズは弾けません。ローポジションで弾けるフレーズだけは繰り返し練習していました。
高校入学を機にエレキギターを入手してからは、天袋に入れたままでした。帰省した折に手持ち無沙汰で引っ張り出して弾くこともありましたが、数年前の改築のときに粗大ごみとして処分されたようです。私にとって記念すべきギターのはずですが、惜しむ気持ちは不思議と湧きませんでした。


Yamaha SG800

ヤマハsg800

先日、いつものようにYAMAHA SG800で遊んでおりましたら、フロントピックアップのタップスイッチが壊れてしまいました。ショック!これはきんたこが公立高校の入学祝いに父親から買ってもらった大切なギターです。何台ものギターを購入しては売却してきましたが、このギターだけは「別格」です。
壊れてしまっては仕方がない。トラブルがあるといつも修理をお願いしている札幌のビックボスさんにみてもらいました。事前に電話を入れてパーツがあることを確認して自動車で直行。壊れたのが週末でよかった(って週末ぐらいしかギターで遊べませんが)。先客があるので3時間ほどかかるとのこと。すすきののラフィラにある玉光堂で目の保養をしましょう。廉価から高価まで様々なギターが展示してあります。試奏はできませんが、眺めるだけでも楽しいモノです。眼福眼福。
さて修理から戻ってきたSG800を早速弾いてみました。プッシュプッシュのポットを交換したのですが、オリジナルの300Ωとは異なり500Ωのが装填されています。そのためかパワーが体感的に5割ほどアップ。シングルに切り替えるとジャギジャギした気持ちのよい音を奏でてくれます。これは交換ついでにお願いしたオレンジドロップのせいかもしれません。ただし故障しなかったリアでは違いが分かりません。ついでにスイッチとコントロールノブも新品に変えました。心持ち綺麗になって男前になりました。きんたこの所有している限りでは、SG800は歪ませるよりもクリーントーンで弾いている方が楽しい。少し甘くて太い音色がイイですね。今後のことを考えてリペアまで考えたのですが、ヤマハのギターはオリジナルの部品が多くてメンテナンス性が悪いのが致命的な欠点です。

※※※
断捨離の目玉として、オークションで売却してしまいました。そして懐にしたお金は妻のウクレレに姿を変えたのでした。


Fernandes FST90(1986)

フェルナンデスFST90

大学生のときです。ニューウェーヴな友人のギターがFERNANDES FST-90 T/Hでした。ところどころレリックにしていて格好が良かった。ネックはサテン仕様でサラサラとしていてとにかく弾いていて愉しかった。アルバイトをして懐が暖かかったので、私も同じギターを買おうと御茶ノ水に出かけました。しかしギターの「足」は早い。すでに廃盤となっており、代わりに売っていたのがこのギターでした。
当時はルカサーのギターも好きだったので、碌な試奏もしないで購入してしまいました。「裸で持って帰れないから、ケースをくれ」と図々しくソフトケースを頂きましたよ。さて家で弾いてみるとこれが実に弾きにくい。更にはあるポジションでボーンと共鳴する有様。パッシブの音もクリアすぎて気持ちが悪い。完全に失敗でした。
後日、赤羽の楽器店で同じ値段でまさしくルーク仕様のストラトが売っており、悔しい思いをしました。その後は塗装を剥がそうとして失敗、ネックを薄くしようとして失敗等、散々バラバラにしてギターの構造を学ばさせていただきました。


Fender Japan K316

フェンダーk316

釧路の玉光堂で、高中正義が使用している58年型のレッドサンバーストのストラトキャスターのコピーモデルを発見しました。
その頃は独身で財力もあったので、即時購入しました(写真ではタバコサンバーストのように見えますが、実物はもっと赤かったのです)。ストラトは以前のフェルナンデスのことがあって、あまりいい印象がなかったのですが、長年憧れていたモデルですし(ボディがレッドサンバーストだとフィンガーボードがローズで、フィンガーボードがメイプルだとボディがタバコサンバーストのモデルが多かった)、ネックがバーズアイでとても美しかった。心配していたボディの共鳴もなく、SG-800との二刀流で高中のコピーに勤しんだものです。
時を同じくして、Moonからレリック仕様の高中モデルが発売されました(すすきのの玉光堂で発見)。とても心が揺れましたが、財力が追いつかなかったので見送りました。


Greco CSF120

フェンダーk316

クラッシックギターが上手い職場の先輩から「エレアコギターを買うか迷っている」と相談を持ちかけられ、やはり釧路の玉光堂に行きました。
先輩が食指を動かしていたのはグレコのエレアコでした。ブラウンサンバーストが高く、レッドサンバーストが安かった。このブラウンサンバーストのギターに一目惚れしまい、先輩を差し置いて購入してしまいました(結局、先輩は自身のなじみの楽器店でフォークギター型のエレアコを購入しました)。
このギターがとても弾きやすく、傍らにいつもおいてはボロボロと爪弾いておりました。


Yamaha SG2000MT

ヤマハsg2000mt

紋別で勤務していたある日のことです。新聞で「ヤマハから高中モデルが発売される」との情報を得ました。自分の力量を越える価格でしたが、限定品だったので「これを逃すと二度と手にすることはできないだろう」との思いが強く、えいっと旭川まで出かけていって予約してしまいました。 やがて旭川の楽器店からの架電で、仕事を早退して引き取りに行きました。紋別から旭川に向かうあのときの晴れ渡った空の青さはなんとも言えない気分の高揚を誘ったものでした。
自宅に帰り、早速アンプに繋げて高中のフレーズを弾いてみると、憧れていたあの音が出てきました。感激!
私の宝物でしたが、精神状態が非常に悪かったときに「私がこのSGを持っていては駄目だ。もっと相応しい人が所持するべきだ!」とオークションに出して手放しました。購入価格よりも高値で落札され、私のレイキの修行代になってしまいました。


Ibanez PMS100BK

ヤマハsg2000mt

北見の楽器店でナチュラルカラーのパット・メセニーモデルが吊り下げられておりました。パット本人はブラックを使用していましたが、楽器としての美しさはナチュラルの方に分があるように感じます。この頃は一人前のメセニー・ファンを気取っていたので、是非とも弾いてみたいとの思いがわき上がりました。しかし実力を越えるお値段でしたので、北見に出かける度にただただ指を咥えて眺めるしかありませんでした。やがて札幌に転勤になりましたが、オークションでドンズバのブラックが出品されました。そしてほとんど競合無しにお値打ち価格で落札してしまいました。
抱えてみると想像以上にボディに厚みがあり、ましてやパットのフレーズも全然弾けないので完全にお飾りになっていました。それでも幸せでした。
やはり精神状態がとても悪いときにオークションで手放してしまいました。Yamaha SG2000MTともども後悔しています。


Yamaha SF3000

ヤマハsf3000

ある日のことでした。オークションで、YAMAHA SF-3000が¥20K程で出品されていました。とても気になったのですが、落札されずに終了。その後どうしても気になって、同じ出品者の違う品物から連絡を取って改めて出品してもらい入手しました(いけませんねぇ)。30年前は国産ギターとしては中級品の¥60kのお品です。入手したブツは非常に状態が良く、かつ弾きやすい!もうぞっこんです。
大学生の頃、Fernandes Fst90と購入を迷ったものの、FST90を購入、そして後悔しましたが、その購入して数日後に赤羽の古びた楽器店でなんとお茶の水になかったYAMAHA SFを発見!当時は速攻に売って買い直す発想がなかったので随分と悔しい思いをしたものでした。なんだか30年目にしてようやく仇を討った感じですヽ(´▽`)ノ。


Yamaha SC3000

ヤマハsc3000b

ある日のこと、オークションにてギターを16K円で入手しました。YAMAHA SC3000です。
このギター、バックプレートとアームが欠品しているというストラトタイプによくあるパターンにプラスしてペグまで欠陥であるという代物。しかしそのほかは大丈夫そう。なによりSF3000ユーザーとしては、軽くて体になじむボディとスルーしていて弾きやすいネックが魅力的なことを知っていますし、シングルコイルが一本欲しかったので手に入れてしまいました。(^ー^)b
純正は手に入りにくそうなので類似のペグを取り寄せ、バックプレートは自作し、カルナバワックスとレモンオイルで磨き上げたら見違えるほどきれい。アームはSF3000に任せるので、こっちにはGOTOHのパワーストリングを追加してガチガチにボディに固定。ダダリオの0.10の弦を張り、オクターブピッチを調整して音出しです。とても堅く締まっており、コンプレッサーをかけるとイイ具合にパキパキします。当たり前ですがSGやSFとはまるで違う音。珍しさと弾きやすさで部屋に出しっぱなしです。これでYAMAHAのSG800、SF3000、SC3000と80年初期のギターが3本揃いました。一時期、コレクションが過ぎて5本も処分しましたが、また増えた。それでも、このSCは手放さないだろうなぁ~。(まともな値段が付かないだろうしね(^^;
※※※
下取りとして手放しました(^^;)


Yamaha SC3000

ヤマハsc3000n

ブラウンサンバーストのYAMAHA SC3000は、ジャキジャキした生音がして、非常に好ましいギターでした。しかし、ネックに傷があったりアームやバックプレートが欠品したりと永く愛用するには不満足な個体でもあります。
売れないだろうと思っていたのですが、中古のJC-20の下取りとしてドナドナ成立。
心機一転、新たな(中古だけれども)SC3000を入手するために、オークションで良品を探すことにしました。
欠品のない状態での出品は少なかったのですが、ある日出ましたよ。完璧なお品が!派手な入札合戦を繰り広げることなく無事に落札しました。
さて手物に届いたSC3000をジャラーンと引いてみると、ん、なんだ!音が違う!あのジャキジャキした音じゃない!!
思い出補正とか勘違いとか、その手の現象ではなく間違いなく音のキャラクターが違う!!!個体差とはこんなにもあるものなのかと驚きましたよ。
YAMAHA SG800とともに末永く愛用するつもりでしたが、断捨離まつりで手放してしまい、やはり妻のウクレレにその姿を変えたのでした。


Yamaha SF700

ヤマハSF700

このギターは80年代当時から欲しかったのですが、きんたこの手元にはなかなかやってこなかった。先日(ってもう昨年だ)、ジャンク品として購入。実際のところ、電気系統がジャンクでも木部が正常ならばなんてことはない。このギターもボリュームポッドが完全に壊れていましたが、ネックもボディもフレットも程度良し。いつものビックボスさんで整備をしてもらって完全復活しました。このギター SF700はSF3000についで入手した2本目のSFシリーズですが、とにかく重い(しかもシールドジャックの位置が悪いので座って演奏するのも案配が悪い)。しかしこの重量のせいもあって音の腰が据わっている。SFシリーズ特有の高音の抜けがよく明るい音色に加えて、パンチの効いた音圧がでるのでディストーションが気持ちがいい。まさに突き抜けるようなサウンドです。また24フレットまであります。そのためネックが太いのですが、この太さが絶妙。ハイポジションはSGよりも弾きやすいですね。早弾きの練習におすすめです。さてさて意に反して増えてしまったギターを処分したいのですが、どれも個性豊かで難しい状態です。楽器はしばらく弾いてみないと相性が分からないので、もう新品は買わないと思います。新品を購入して気に入らず売却するのはなんだかもういいです。お金も手間ももったいないですね。できたら気に入っているSG800を高中ブルー、SF700をPRSのようなエメラルドグリーンに再塗装して、フレットも打ち直して最期まで使い倒したいなぁ。
アンプもJC20を買い戻したいですね。


Gibson Memphis Limited Run 2015 ES-335 Figured Indigo Blue

ギブソンes335

私が中高生の頃は、エレキギター = フュージョンでした。私は今でも高中正義ばかり弾いていますが、増尾好秋・渡辺香津美・和田アキラも大好きで、少ないお小遣いで彼らのレコードを買い、ギターの耳コピーに励んでいたものです。もちろん難しすぎて正確なコピーなんてできませんでしたが。
当時のフュージョン界のトップ・ギタリストは Lee Ritenour と Larry Carlton で、共に Gibson 335 をトレードマークにしておりました。その頃はプロでも10万円台の国産ギターを使っていたのですから、30万円を超える Gibson や Fender は今では考えられないほどに高嶺の花でした。何時の日か Gibson 335 を購入するだけの財力と弾きこなす演奏力を身につけたいと少年きんたこは願っておりました。
あるときイシバシ楽器のサイトを眺めていると、ブルーのシースルーが美しい Gibson ES-335 が数量限定で販売されていることを知りました。このギターの発売を知ったのは運命的だ。少年時の憧れがここで叶うのだ。この機会を逃したらもう二度とこのギターを手にすることができないだろう。これは是が非でも手に入れなければ…。
札幌の楽器店には並ばない特別なギターです。ネットの限られた情報だけを頼りに、無理矢理なローンを組んで購入してしまいました。まもなく「少年時の憧れ」が届きました。逸る気持ちで荷解きをしてギターを手に取りました。
…!
ディスプレイで見たのとブルーの色合いが全然違う!抱えてみると今までのソリッドギターよりも大きく、コンターもないのでホールドしにくい、プレイしにくい!認めたくなかったのですが購入は失敗です。ES-335 は私ごときが所有できるギターではなかったのです。更に憧れが強過ぎて、弾くのがもったいないといった気持ちが強く、ケースの中に仕舞い込んだままとなりました。結局、都合10時間も弾いていないのに、ローンが終わるやいなや売りに出してしまいました。